あなたのかぜはどこから?

あのときあなたが手折った花の名はなんといったでしょうか。

無邪気にしゃがみこんだあなた自身がまるで花の蕾のようで、僕は息を詰めてただあなたを見つめていました。

振り返るあなたの手元には紫の花。白魚のようなあなたの手にそれはとても映えていて、僕は思わず俯いてしまいました。

あなたはまるで少女のように悪戯っぽく笑い、僕はなんだか胸が苦しくてそれでいて無限に沸き上がる喜びを噛み締めていました。

今思い返してもそれは僕にとって最も幸福であった頃の記憶のひとつです。あの紫の花。それは何かの象徴のように脳裡の奥底に焼き付いています。

いつしかあなたのことを思い出すこともなくなり、気だるさと息苦しさを感じながら変えられない毎日を僕は生きています。

いつもと変わらない景色のなかに、あの紫の花を見つけたのはどうしてでしょうか。きっと今までも何度も視界に入っていたでしょうに、突然雲が晴れたように紫の花が僕の目を捉えたのです。

僕はいつか感じた胸の苦しさを覚え、そのとき紫の花の名前はなんだろうとはじめて思ったのです。

紫の花をスマートフォンで検索するとあまりにたくさんの候補に狼狽しながらひとつひとつ確認していきます。その作業はもどかしいながらも何故か楽しくもあり時が経つのも忘れました。

そしてようやく見つけました。
紫の花の名は

地獄の釜の蓋


彼は歪んだ顔でそっとブラウザを閉じてしまったが、花言葉は「あなたを待っています」なのはまた別の話。




かたつむり

かたくて食えないよ
たかくて食えないよ
つまり食えないよ






ねえねえ郵便屋さん、郵便屋さん。
なんだい、お嬢ちゃん。
郵便屋さんはなにをするひとなの?
郵便を運ぶんだよ。
ゆうびんってなあに?
手紙や荷物のことだよ。
なぜはこぶの?
幸せを届けたいからかな。
しあわせってなあに?
笑顔でいられることだと思うよ。
じやあ郵便屋さんのしあわせはだれがとどけてくれるの?
知るかボケ





「の」がモンスターボールに見えてきたら潮時だぞ。